概要
世界の糖尿病患者数は、2000年の1億5100万人から2021年の5億3700万人へ3.6倍に増加している。
糖尿病を放置すると合併症 (腎症、網膜症、神経症)が起こる。
そのため、患者は継続的に自身で血糖測定を行う必要がある。
現在の血糖測定法は採血を伴う酵素電極法で実施していて、患者に精神的・肉体的なストレスを与える。
唾液中の糖濃度は血糖値と相関関係(山口昌樹ら,”血糖値と唾液糖値の相関に関する検討”,糖尿病,40,335-340(1997))があるので、唾液糖値から血糖値を推測できれば、低侵襲な計測が可能になる。
表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)を利用した高感度なセンサをSi基板光導波路を利用して実現する。
図1 Si基板光導波型血糖値センサの概形
成果発表
(1) タイトル:光ファイバと Si 基板光導波型 SPR 屈折率センサの接続と基礎特性の評価
学会:第42回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(栃木県宇都宮市)
発表日:令和7年11月11日
発表者名:青柳和志,アディット,新國広幸,伊藤浩
概要:
本研究では、光源とセンサ間を光ファイバで接続した光導波型SPR屈折率センサを設計・製作した。単結晶シリコン基板上に異方性エッチングにより光ファイバを固定するためのV字溝を形成し、光導波路の素材としてBK7ガラスを使用した。SPRの励起にはAg膜を用い、BK7-Ag膜間の密着性向上のためにCr膜を積層した。実験の結果、センサ感度は屈折率1.3331 – 1.3443の範囲で1513 nm/RIUであった。
(2) タイトル:Au/Si/Ag/Cr多層膜を用いたSi基板光導波型SPR屈折率センサ
学会:電子情報通信学会 総合大会,九州産業大学(福岡市)
発表日:令和8年3月11日
発表者名:波多野陽一,アディット,青柳和志,伊藤浩,新國広幸
概要:
Si基板光導波型SPRセンサを提案し、BK7ガラス導波路とAu/Si/Ag/Cr多層膜センシング部、V字溝固定の光ファイバ結合で小型集積化を実現した。グルコース溶液で評価し、Si膜による電界増強で感度は2326 nm/RIUとなり、Siなし(1573 nm/RIU)比約1.48倍に向上、理論値にも近く有効性を確認した。